BGM TOPIC


2015年現在でも、1st,2ndのサントラはプレミア化している。2ndは少し前までは相応の価格だったのだが、数が少なくなるにつれ、高騰してしまったようだ。1stは新品に近いものだと1万円はくだらない。海外では粗悪な海賊盤がオークションに出されていることもあるようだ。素晴らしい作品だけにデータでのリイシューすら実現していないのは残念に思う。サンライズは「主題歌集」としてのリイシューこそ着手しているが、各々の作品単体にライトを当てることは稀になってしまっている。1stのOPがひっかかるのでは、など推測が後を絶たないが、それだけで埋もれてしまうには惜しい。

■オープニング
『ビッグオー』のオマージュ例を挙げていくとキリがないのだが、もっとも説明しやすいものがオープニングである。1stシーズンのオープニング曲「BIG-O!!」はローリー寺西に匹敵する最高の模倣を見せてくれる永井ルイ氏によるもので、クィーンの「フラッシュ・ゴードンのテーマ」を核に、同バンドのテイストを再現した楽曲だ。フルバージョンでの曲の終わり方はイエスの「クロース・トゥ・ザ・エッジ」とも言われている。ギター、フレディ・マーキュリー「っぽい」ボーカルといった基本のパーツはもちろんのこと、曲調の劇的な変化は「ボヘミアン・ラプソディ」を踏襲している。「フラッシュ・ゴードンのOPっぽく」という注文通りのものが出来たことはファンには有名な話だが、これがクィーン側を刺激し、権利的にアウトになったという噂は少々信じがたい。しかし、現実にこのオープニングはアニマックスといった専用チャンネル内の再放送時や、DVD-BOX収録時には差し替えられている。
曲だけにとどまらず、考えられる原因は曲以外にも映像にある。こちらはまんま『ウルトラセブン』だったのだ。本当はこちらに問題があったのではないだろうか。
 曲そのものに関してだが、ただのパロディで済ませるには勿体ない。バックで鳴り続ける機械の稼働音、車がクラッシュするような音の配置など、かつての海外ドラマにあった、SE込みのオープニングを忠実に模しており、懐古的な意味ではなく、これらギミックを抱え込んだ装置を現代に復活させる。あまりにマニアックなアプローチなだけに、独善的なノスタルジーが浮き上がることもない。
 セカンドシーズンは劇伴を手がける佐橋俊彦氏による「RESPECT」で、その名の通り「なぞった」曲になっている。『謎の円盤UFO』のオープニングそっくりに作ってあるもので、あまりに似すぎたのか、こちらも再放送またはDVD-BOX収録時には差し替えられてしまった。過去の放送の映像を繋ぎ合わせた映像も、「日本へ輸入された」海外ドラマ的な演出で、気が利いている。『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』、『ピンクパンサー』、『ビーストウォーズ』など、同じ手法でオープニングを作っていた番組も多い。
 さて、差し替えの印象が強い「BIG-O! Show must go on」だが、永井ルイ氏が再び書き上げた佳作として、更に評価されるべきだろう。が、そこは永井氏、素直に反省するはずもない。クィーンのようなボーカルとギターはもちろん、キンクス的なギターだけのイントロで、表層の薄皮一枚に触れるパロディを発揮。明確な答えこそ出せないが、確実にトレースしているという職人芸にファンは「また何かのパロディか」と呆れつつも、安堵するのだ。そのまま提示せず、気配を察知「させる」というのは簡単なことではない。

■BGMリスト・1stシーズン ORIGINAL SOUND SCORE

1. STONING
モーツァルトのレクイエム(K626)を下敷きにしたようなクラシック型の曲。Act.1,2はオープニングが存在せず、この曲に合わせてビッグオー起動時のフレーズが音読されるという演出であったせいか、1曲目になっている。ザ・ビッグシリーズに関する展開では頻繁に流れるもので、月並みな表現だが、黙示録を演出する役割を果たしている。Act.17のシュバルツバルトの声明と共に流される際に使用されていたのが印象深い。

2. BIG-O!(TV EDIT)(永井ルイ)
オープニング曲のTVエディット。Act.3から使用されるわけだが、映像含めてインパクトは強い。フルバージョンよりも展開にメリハリがあり(尺が短いから当然か)、ついついこちらを多く聴いてしまう。

3. STAND A CHANCE
メガデウスのアクション(敵味方問わず)時によく用いられるテーマで、SURE PROMISEに並んでビッグオーのメインテーマとして親しまれている。Uボートの「帰郷」をモデルとしており、親の世代に何気なく聞かせてみると反応が得られるかも...。

4. NAME OF GOD
導入部分によく用いられるが、最も印象的だったのはAct.4でのシュバルツバルトの独白時だろう。Act.10では歌詞(のようなもの)がつけられ、歌われるシーンもあった。この曲はシュバルツバルトのイメージと共に、セカンドシーズンのSolitudeに受け継がれていく。

5. THE STORM
不穏な事態の時によくかかるもので、曲が終わる頃にはだいたい敵のメガデウスが出る。最初に使われたのはAct.1でR・ドロシーがロジャー邸を訪ねてきた時であった。後ろで鳴り続けるシンセのうねりと不安定なパーカッションが耳に残る。

6. SPIRIT
これも導入部分で使われがちで、フルで流れる場面は少ない。

7. SERVANT
日常パート、コメディ色が強い部分でよく流れる。個人的にはAct.8で砂時計を壊されて怒るロジャーを真っ先に思い出す。モンド・ミュージックとしての60年代がきっちり出来上がっている。

8. APOLOGIZE
ロジャーの独白でおなじみ「BRICK BALLADES~HOUSTONST」のアレンジ。ちなみに同曲はマスタリングの不都合か何かで、サントラには未収録。後のセカンドシーズンのサントラ、またはドラマCDに収録されている。後日談などに用いられることが多い。しっとりとしたメロディーはついつい真似てみたくなる。

9. APPAREL
元ネタがありそうな曲だが、すぐには浮かばないモヤモヤ具合が魅力にもなっている。Act.10の異国のロボット、Act.18の偽ロジャーを追いかけるビッグオーなど、印象深いシチュエーションで用いられているので、そのインパクトはなかなかのもの。間抜けな管楽器の音がくせになる。

10. THE GREAT
まんまゴジラ、伊福部昭なサウンドでびっくりするテーマ。メガデウスが闊歩するシーンなどで使われ、まさに怪獣映画的なムードを演出するにふさわしい内容だ。歯ぎしりしながら退避するダストンが目に浮かぶ。

11. APOSTLE
「使徒」を意味する曲名で、Act.7に登場した水中ダイバーたち(神の使いとして恐れられていた)に即しているように思えるが、この曲がもっとも素晴らしく響くのはAct.13だろう。ある施設の跡地に向かうロジャーの脳裏に浮かぶ、失われたメモリーの断片。次々とカットで挿入される映像とのシンクロは、謎に触れないことの潔さと美しさを示した1stシーズンにふさわしいものだ。

12. FALSE
これも導入、それもネガティブなシチュエーションで使われる。タイトルから察するに、パラダイム社の不正に言及するようなシーン用として作られたのだろうか。

13. SLEEP MY DEAR
BRICK BALLADES~HOUSTONSTアレンジ再び。原曲がシナリオの導入に用いられがちなのに対して、こちらは事件解決後によく流れる。

14. SURE PROMISE
言わずと知れた?メインテーマ。ビッグオーの発進とメガデウス・バトルの戦闘、どちらにもふさわしい名曲である。この曲で締めくくられるAct.13の盛り上がりは演出の勝利だ。

15. TOUCH
『トワイライトゾーン』的な不安を煽る曲。単に恐ろしいという意味ではなく、得体が知れないものに対する恐怖を演出するときによく流れる。佐橋の、かつてこの手の番組を見ていた時の記憶を振り返っているような童心も感じられる一曲だ。

16. WEEP FOR
捜査時によくかかる曲。エコーが利いたシンセ・パーカッションが眠気を誘うのはご愛敬。エコーが利いてない、音数が足りていないバージョンがAct.10で流れることが思い当たる人は立派なマニアです。

17. NATURE
ロジャー行きつけのバー・スピークイージーでよく流れる。SERVANTと同じく、コメディ色の強いシーンに用いられることも多い。Act.3のラストで早速乙女心を発揮するR・ドロシーが弾く「ブルース」としても知られている。

18. THE WORDS
追撃あるいは被追跡時によく流れる。サックスとシャッフルが小気味よい、まさにドラマ・ミュージックな展開も素晴らしい一曲だ。エレキギターの扱いに関しても、佐橋氏はもっと評価されるべき。

19. RUN DOWN
目覚まし、着信音などにしているファンも多いであろう、ロジャー邸の「爽やかな目覚め」を提供するナンバー。Act.18ではこの曲が始まりと終わりを担当するという演出も憎かった。RUN DOWNで衰弱させるの意。

20. TEARS
事件終了後、クライアントの事情に触れる時などによく使われる。Act.9でダンディ・ワイズが己がメモリーの喪失と、その後に子供が生まれたという事実を語るシーンが印象深い。決してポジティブな曲ではないが、常に何かが芽生え、結局幻のように消えていくパラダイムシティにふさわしい内容だ。

21. THE PROCESS
これも捜査時の曲。プロセスという名前からして、そうである。

22. SIN
戦いの前触れといったところ。タイトルは「原罪」を意味する。「GUILTY」ではないのがミソ。この曲と共に登場するアーキタイプのインパクトは大きかった。

23. A VISION
本編未使用。サックスがモロにL.Aが舞台のホームコメディである。

24. PROCRASTINATION
ギャグシーンといえばこれ。R・ドロシーがクライアントとしてではなく、メイドとしてロジャー邸に来た時に流れたのが初出であるのはあまり知られていない。この曲が流れるシーンが少ない、と言えばセカンドシーズンの内容がどんなものかわかるだろう。ベックの存在は偉大だ!

25. FREEDOM
事件解決時または捜査進展時にもよく使われる。Act.2でベック一味を制裁する時に使われたのが印象深い。

26. THE HOLY
STAND A CHANCEの別アレンジ。ほとんど同じです。

27. EVOLUTION
BRICK BALLADES~HOUSTONSTアレンジ。事件解決後によく使われるもので、エンディングの前振りとしては最高の部類に入る。Act.9のラストはこの曲とR・ドロシーの質問で締めくくられ、後味の良さならシリーズ通して1,2を争う出来となっております。

28. ETERNAL LIFE
Act.6でR・インストルを説得する時に用いられた。短い再生時間と少ない使用回数ながらも強いインパクトを残す曲だ。

29. AND FOREVER…(TV EDIT)(ロビー・ダンジィー with 高尾直樹)
「星に願いを」的なエンディング曲。アニメソングという括りで聞くのは勿体ない、という断りが馬鹿らしくなる程の出来で、是非ともロングバージョンを堪能してもらいたい一曲だ(何故かiTunes Storeではこの曲のみ配信されている)。メモリーを失った世界における、現在、瞬間の愛を歌った、普遍的な歌詞もぴったり。『ビッグオー』がこの曲で締めくくられるのも納得。作曲とピアノは名ピアニスト・島健氏。

■BGMリスト・2ndシーズン ORIGINAL SOUND SCORE II

1. SURE PROMISE~UNION SQ
アレンジバージョンで、ギターなどの楽器が追加、80年代的アレンジがビッグオーの形勢逆転を盛り上げる。それ程かかる機会は少ないが、2ndシーズンの幕開けを高らかに宣誓する曲として印象に残った。

2. BRICK BALLADES~HOUSTONST
ロジャーの独白でおなじみのテーマ。諸事情で1stのサントラには入らなかったが、今回はめでたく収録。パラダイムシティや、シティ内外で暮らす人々について説明してくれるロジャーと運転するグリフォンが目に浮かぶ。『ビッグオー』の物語はこの曲で始まり、この曲で終わるが、シティの人々の人生は続いていくのだ。

3. RESPECT~UPPER WEST SIDE
2ndシーズンのオープニングテーマのフルバージョン。アレンジが異なっているため、厳密にはフルとは言えない。元ネタは有名な『謎の円盤UFO』だが、突っ込みをするのが野暮なくらいに『ビッグオー』にフィットしているのは佐橋氏の手腕ゆえか。中盤のエレキギター地帯にむせび泣く。

4. APOLOGINE~BLEECKER ST
これもアレンジ。Act.14と26、表裏一体となったエピソードのクライマックスを演出する曲だ。2ndシーズンはこうした、対になっている関係のシチュエーションが多く、曲もまた然りである。

5. PAINFUL DREAM
なかなか厳しいタイトルだが、その通り辛い時に使われる。捜査をするにも、メモリーという謎と畏怖がつきまとう、2ndシーズンを象徴する曲だ。

6. RESPECT~LOWER EAST SIDE   
こちらはダウンテンポなアレンジ。秘密が発覚した時などに使われるもので、ロジャーとアレックスの問答を思い出す。エレキギターの主張が実は激しい一曲で、展開の重厚さはかなりのもの。

7.DISTANCE
Act.15で殺害されてしまったロスコー・フィッツジェラルド。その亡骸の「破片」を集めるフィッツジェラルド夫人に捧げられたような曲だ。アレンジの妙が発揮されているのが2ndシーズンの特徴か。

8. SOLITUDE
2ndシーズン版NAME OF GODと呼ぶにふさわしい。シュバルツバルトの独白とピッタリで、ちょうどAct.17冒頭の延々と続く砂漠と曇り空を映し続けているかのようだ。

9. DREADFUL
PAINFUL DREAMのアレンジ。ギターによるなぞり方がより不安を増大させる。

10. BEFORE DAWN
いつ使われたか・・・失念。

11. PRAYER~50TH ST
賛美歌として書かれたもので、元ネタがありそうではある。拠り所のない不安に対して、共に歌うということは確かにその場しのぎとはいえ、救いに含まれるものだろう。日本には浸透しているようで、浸透していない文化だと個人的には思う。こう書くと誤解を招きそうなので添えておくが、あくまで「宗教」という対象からの話。

12. TOKEN
2ndシーズンの黒羊、いやいや金羊。この曲が、Act.18がつかの間の休息を与えてくれる。そんな後光すらも感じさせる快作だ。1度きりのファイナルトゥギャザーに捧げられた、野心とノリを讃える賛歌!!

13. DIVINE
未使用曲。中盤からの盛り上がりとグロッケンが、何故か『迷宮物語』の「工事中止命令」を連想させる。

14. CHAIN
RESPECT~LOWER EAST SIDEをより遅くしたようなアレンジで、事件解決後などに使われた。一番印象深いのはAct.19ラストでのダストンとフレディのやりとりのバックにかかった時だろうか・・・。あまりに渋すぎるため、一聴しただけでは勿体ない。ループ再生推奨。

15. PAINFUL DREAM~SPRING ST
これまたアレンジ。ちょっとくどいかも。

16. PRAYER~14TH ST
PRAYER~50TH STのアレンジ。Act.17で使われたもので、この曲をバックに、リヴァイアサンが吠える演出が素晴らしい。

17. CENTENARY
Act.16で天使の到来を祝したお祭りに用いられた曲。使われた回数は一回のみ、それも小さめのボリュームな為、気付かない人も多かったと思われる。フルで流れることもなかったのも惜しい。

18. PERVERSE
2ndシーズンでいうPROCRASTINATIONにあたる曲で、ベック関連でよく使われる。特にAct.18の一連の流れがこれで締めくくられるのは完璧。

19. OBFUSCATE
捜査時の曲・・・だが、意外と印象に残らない。

20. PRAYER~WTC ST
またも賛美歌アレンジ。ここまで来るとくどいか・・・Act.17でR・インストルが弾いていたものはこれか?

21. FLAG
この曲の使われ方は2ndシーズンの中でも特筆されるべきだろう。ヴェラの鼻歌、街のどこかから響いてくる効果、そして本来の歌唱。ユニオンの存在を示す絶好の装置として機能している。元はフランス国家で、『ビッグオー』の世界、というよりはパラダイムシティではヨーロッパ圏が異国として設定されていることを示唆する貴重な曲でもある(シュバルツバルトはドイツ人で、未知のモノへの恐怖を意味する黒い森の名が添えられている)。

22. ANDFOREVER~GRAND CENTRAL
佐橋氏によるエンディング曲アレンジ。未使用である。原曲を活かした秀逸なアレンジで、インストなのも潔い。余談だが、原曲のイントロが編集されてBGMに使われたことがあるが、あれは佐橋氏か音響担当の方の仕事なのか、どちらであろうか。

23. REGEND OF FIRST MEMORY
上で終わっていればいいのだが、この曲で呆気にとられたままサントラは終了する。1stシーズンのサントラを買えなかった人への配慮か、同収録曲の矢継ぎ早メドレーとなっており、何故かTHE STORMが曲間を繋ぐ役割を果たしている。中途半端!!

■その他

THE ビッグオー OPテーマ RESPECT

これは2ndシーズンのDVD1巻が発売した時にリリースされたシングルで、オープニング・エンディングがシリーズ問わず収録されている。さとうけいいち氏描下ろしのジャケットがナイスだ。収録曲は以下。TVサイズがあるのはなかなか嬉しい。なお、「RESPECT」の原曲と、BIG-O!!(SHOW TIME VER)はこれにしか収録されていない。後者はなかなか渋いアレンジになっているが、原曲とそこまで違いがあるわけではない。原曲と書くとややこしいが、アニメで使われてるもののことである。あしからず。
1. RESPECT
2. BIG-O(永井ルイ)
3. and FOREVER...(永井ルイ)
4. BIG-O(KARAOKE)
5. and FOREVER...(KARAOKE)
6. BIG-O!!(SHOW TIME VER)
7. BIG-O(TVサイズ)
8. and FOREVER...(TVサイズ)


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